昨年2025年10月の自転車保険義務化に伴って自転車保険が一層普及し、他人への賠償を補償する個人賠償(日常生活賠償)責任補償特約も認知されてきたかと思います。
以前自転車保険の回で説明したようにこの特約は記名被保険者本人とそのご家族の日常生活全般の対人、対物賠償責任を補償してくれます。
単品では存在しないので自動車保険、火災保険、傷害保険などのどこかにくっつく形がほとんどで自転車保険も実は傷害保険+個人賠償のセット商品です。
最近では生命保険にくっついているものも出てきました。
さて、本日の本題ですが、この個人賠償責任保険、とても良い保険なのですが、他人のものを壊してしまっても対象にならない場合があるのです。
どんなケースでしょうか。
それは他人からものを借りたり預かったりして自分の手元にある間に壊してしまった、汚してしまったなどの損害を発生させてしまった場合です。
民法400条には善管注意義務(善良なる管理者の注意義務)なる条文があります。
他人から借りたものなどは自分のものと同じ…いや、それ以上の一層の注意を払って管理しなければならないといった内容です。
そういえば子供の頃、親に友達から借りたものは大切にしなさいなんて言われてたっけな。
借りたものは自分のもの以上に注意を払って管理しなければならない
→それはもう他人のものであっても自分のものと同じと考えて良いのではないか
→自分のものは賠償責任保険ではでない
→つまり借りたものは他人の損害ではなく自分の損害と同等として対象外にしている
といった感じの理屈だと思います。
また、公平な保険料率を維持するためであったり、モラルハザードを防ぐとった意味もあると思います。
借りているということは当然自分が接している時間も長く、自分が管理していないものと比べてリスクも高くなります。リスクの高いものを通常の賠償責任保険と同じ料率で引き受けるのは保険会社としても良くないのでそこは分けている面もあるかと思いますし、
人によってはどうせ保険で直るからと雑に扱うことがあった場合、善管注意義務が果たされなくなってしまい、本来の保険が果たす役割も変わってきてしまいます。
以前火災保険のページでご説明したように火災保険で個人賠償があってもさらに借家人賠償が必要な理由と同じです。
少し例を挙げると
・きれいな写真を撮りたくて友達から一眼レフカメラを借りた際に手が滑って誤ってカメラを落としてしまい破損させた場合
・子供が友達が貸してくれた自転車に乗っていて転んでしまい借りた自転車を壊してしまった場合
・釣りやスポーツなどに使う道具をレンタルで借りていて割ってしまったりした場合
などは通常の個人賠償責任補償では保険は下りないことになってしまいます。
ではどうすれば良いのでしょうか。
それを補償する受託物(受託品)賠償責任補償という特約がきちんとあります。
いくら善管注意義務があるといったってそれでも起こるのが事故です。
気を付けていても起こる事故を補償しないで保険とは言えないですよね。
保険料率や上限の保険金額を変えたり、免責金額を設定したりしながら通常の個人賠償とは別で特約があるのです。
これがあることによって借りたもの、預かったものなど他人のものだけど今自分が管理しているものも補償されます。
安心ですね。
この補償も単品というよりは特約で存在していてだいたい個人賠償とセットでつけられたりします。
個人賠償と併せてあった方が良い特約ですよね。
ちなみに保険会社によっては個人賠償責任補償の中に受託物が既に組み込まれていることもあります。また、免責として特定のもの(例えば電子機器や自転車など)は対象外にしますよとなっている保険もあります。仕事で職場から借りているものやお金、自動車や建物などはいくら借りていても対象外になっているかと思います。
モラルリスクがあるもの(悪いことをやってしまう人がいるもの)、他の保険でカバーできるもの、リスクがかなり高いものなどは補償から外しているのです。
車や建物を借りた場合はそれぞれ自動車保険の他車運転特約、火災保険の借家人賠償責任補償特約などという別の保険があります。
今回、個人のお話が中心でしたけど事業者の賠償責任保険に関しても考え方はまったく同じです。総合賠償の形になっている保険は受託物や管理下財物としてセットになっていることがほとんどですが、施設賠償責任補償といった単品商品にしか入っていない場合、お客さんや取引先から借りたり、預かったりしたものの損害は対象外となってしまうこともあるので注意が必要です。
自分の保険の内容がどうなっているかよくわからない方は一度確認してみてもよいかもしれません。見てもわからない方はご相談ください。
今回は受託物の損害について書いてみました。





